モンパルナス

ベルギーのフリット

フライドポテトの事をフランス、ベルギーではフリットと呼びます。ちなににイギリスではチップス、アメリカではフレンチフライかな?

今回のリエージュ、私達3人が外で食べたのは、このフリットだけでした。

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私も、ワッフルやその他の名物料理は食べた事あるけど、このようなスタンドで食べるフリットは初めて。映画なんかで見て、ちょっと憧れてました。フリットのスタンドは、郊外の高速道路沿いなどにある事が多く、街の中にはあまりないとの事。私達も探してみたけど、リエージュの中心には他に見つけられなかった。

ソースは選べます。私はスタンダードなマヨネーズ、Q太郎にはケチャップ、Q太郎パパはタルタルソース。

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これは小さいサイズ。1ユーロ50セント



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Q太郎にも同じく小サイズを頼んだけど、彼はソーセージも食べた



お昼ご飯はこれだけ。フリットだけ持ち帰りする人も後を絶たない。日本人にとって、ポテトだけ食べるのは変な気がするけど、日本人が時々おにぎりだけを食べるのと同じ感覚かも。





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フリットが出来るのを待っていた時の事。

1人の若者が店に入ってきて、オーナーらしき人物に話しかけていた。

初めは何を言ってるか分からなかったけど、オーナーの声があまりにも大きいので、お店に居た人全員にその若者が何を話しているのかがすぐに分かった。

その若者は、「従業員募集」の張り紙を見て、そのまま店に飛び込んだらしい。その募集の張り紙には「経験者求む」とも書かれていた。

オーナーは経験があるのかと若者に聞いた。若者は「はい」とだけ答えた。すると、以前にも経験がないのに嘘をついて働こうとした人がいるという話しをオーナーが始めた。本当に経験があるのなら、働いていたお店の電話番号を教えて欲しい。自分が電話をかけて確かめると言った。すると若者は黙ってしまった。それでも、自分は経験はあるという事だけは主張した。

次にオーナーが「フリットは何℃で揚げるか?」と質問した。若者はすかさず「180℃です」と答えた。決定的なミスをおかした。ファーストフード店などは分からないけど、こういうスタイルのフリットは、最初140、150℃くらいの低めであげるのが常識。

オーナーは言った。「揚げ方を知らないのなら、正直に言えば教えてあげる。経験もないのに、嘘を付かれるのが一番嫌だ」

オーナーの大声だけが店内に響く。若者は依然小さな声で、経験がありますと繰り返すだけ。

こんなやり取りを繰り返した後、「そんなに言うのなら、今すぐ厨房に入って揚げてみろ」という事になった。若者は上着を脇に置き、腕まくりをして油の脇に立った。初めての厨房、テキパキというわけにはいかず、若者本人が揚げているのかどうかまでは私には判断が付かなかった。その後、「ジャガイモくらいなら切れるだろ?」という事になり、裏でジャガイモをフリットの形にする作業をしばらくやった。若者が裏で作業をしている間も、オーナーは店内にいる人達に向かって、若者がいかに経験がないかという事を説明した。

私は、その若者がちょっと可哀想に思い始めた。一方的に大声でこんな風に言われたら、私なら一目散に退散してしまうでしょう。こんな大声にも負けず、引き下がらない若者をなんとなく応援したい気持ちにもなった。

その後、この若者はどうなったか?

裏でのジャガイモ切りの作業を見ていたオーナー、「今夜から働けるのか?」と若者に話しかけた。「働く気があるのなら、今夜8時に店に来なさい」。若者は「分かりました、ありがとうございます」のような事を言って、お店を後にした。

その時、店内に居た客は私達3人だけ。オーナーは私達に大声で話しかけてきた。

自分は1983年に店を始めた。初めは本当に大変だったけど、なんとかここまでやってきた。美味しいフリットは誰でも揚げられるものではない。だから自分は経験者を求めている。揚げ方を知らないのなら「教えて下さい、お願いします」とどうして今の若者は言えないのか?

Q太郎パパが言った。「自分はこのお店のフリットの味が大好きで、創業当時から良く来ていました。自分の息子にもここのポテトを味わいさせたくて、今日、20年ぶりに来たのです」

カウンターだけの、古いスタイルのこのお店、Q太郎パパは焼き鳥屋を思い出すと言う。

確かに焼き鳥だって、誰でもが簡単に焼けるわけではない。美味しい焼き鳥というのは、それなりのプロが焼くものだと私も思っています。

初めは怖いと思ってたけど、美味しいフリットにこだわりを持つこの頑固オヤジに、最後には親しみさえ感じてしまいました。こういう熱い人ってどこの世界にでもいるんですよね。いつまでも変わらず働いてもらいたいけど、来年の頭には改装となってしまうようです。多分、カウンターだけの古いスタイルはなくなるはずだけど、味は変わらないと信じてます。
by Qtaro-mama | 2006-11-01 04:13 | Trackback | Comments(8)
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Commented by Sayaka at 2006-11-01 06:17 x
この若者は、結局その夜お店に来たのかどうか気になってしまいます。彼がすこしずつでも頑固おやじの魂にふれて、成長できるといいよね。この若者、必死で粘っているところがある意味素敵だし、おやじも、ちゃんと筋が通った叱り方ができる大人というかんじで、かっこいいです。
Commented by momocyoko at 2006-11-01 09:33
うーんなんか良い話だね^^
なんでも真剣に取り組む姿勢が大事ですね。ポテトごときって思うけどこういうシンプルな物こそ味の違いが出ると私も思います。寿司も天ぷらも蕎麦もそうだもんね!Qpapaさんの昔なじみのお店行けて良かったね
にしてもやはりポテトだけのお店でこんなに流行るって日本人には受け入れ難い・・・(笑)
Commented by Hido at 2006-11-01 17:58 x
ええ話や、、、いや、感動しました。
オーナーと同じ感想を若者に対して感じてしまう私なんですが、国別に
言うと日本の若者はもっととんでもないんですよ、オーナー、と
言いたくなりました、はははははは。
素直・正直ではない若者。多いですよねぇ。
やる気も素質が伴わないと無謀となりますし、気合はあっても
勘違い野朗も多い世の中です、挫折していい加減な人生おくる
人間も多いですよね、やはりフリーターというものが増え始めた頃から
でしょうかねぇ。
街頭でポケットティッシュ配ってる若者見ると感じるんですよね、将来は
暗いぞ、日本と。
それにしても、いつもマックでポテトしか頼まない自分としては
こういう店は非常に羨ましい&美味そうでした。:p
Commented by Qtaro-mama at 2006-11-02 07:56
>Sayakaさん
「ロゼッタ」っていう映画見たよね?まさにあの映画を見てるようでした。彼は仕事に来たと思うよ。若者に説教出来るオヤジもカッコいいけど、あのオヤジの大声に負けない彼もなかなかでした。
Commented by Qtaro-mama at 2006-11-02 07:57
> momocyokoさん
一応、ジャガイモはベルギーの主食なので、真剣度が違います。フリットはフランスで食べるのとジャガイモも揚げる油も違うので、美味しさも違いますよ。
Commented by Qtaro-mama at 2006-11-02 08:01
>Hidoさん
やっぱり日本は恵まれてるかな?と時々帰ると感じます。こちらはやはり失業率高いですよね。
最近、日本の若者と交流がないので何とも言えませんが、やはり日本の将来、ちょっと考えてしまう時はあります。
マックでポテトだけですか!それも良いですね。
Commented by naoaoi8 at 2006-11-03 21:30
頑固おやじ、いい話ですね。
わたしの実家は鳥肉屋なのでこのおやじの気持ちなんとなくわかります。おいしく焼き鳥を焼くのは難しいですよ。揚げ物も。コロッケを作っても実家のには負けています。
それに数十年ぶりとかにお客さんがくるのはうれしいようです。そいういうお客さんがくるとその晩の話題になっていました。
Commented by Qtaro-mama at 2006-11-03 23:08
>naoaoi8さん
美味しい焼き鳥、食べたくなった。揚げ物、私も苦手だわぁ。天ぷらなんて練習しなきゃダメだわ。
やっぱりお店をしてる人にとっては、何十年ぶりで来るお客さんは嬉しいのかぁ。その晩の話題になってたというのが笑える。
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